【ネタバレ感想】太田愛「幻夏」。悲しみが滲む冤罪ミステリー

こんにちは、もしかめです。最近ツイッターを始めまして、読書アカウントなるものを作ってみたのですが、とても良いですね。何が良いって、次から次へと読みたい本が見つかること。今日もその情報を頼りに、ブックオフへ買い出しに行ってきました。

今日の戦利品はこんな感じ。

いや、どこで撮ってんだよ、という突っ込みはなしでお願いします。長いこと気になりながらも手をつけられていなかった模倣犯が今回の目玉です。これも、フォロワーの皆さんの激押し具合を見て改めて購入を決意しました。

あとは、「その可能性はすでに考えた」。実はこういった少し洒落た?気障な?タイトルの作品って文体が軽かったり本格感が欠けてたりしてあまり好まない傾向があったのですが、ツイッターを眺めていたら気になってしまいました。こういった、これまでの自分の感覚では選ばなかったような本と出合えるのは、SNSならではって感じですね。

積読は増える一方ですが、これからもゆる~く楽しんでいこうと思います。ツイッターのフォローも、ぜひお待ちしております(小声)

もしかめのツイッター

太田愛「幻夏」。感情が揺さぶられる良作ミステリーでした。

つい先ほど、太田愛さんの幻夏、読み終えました。

めちゃくちゃ良かった..

積読本はいくらでもあるので、すぐにでも新たな本を読み始めたいところですが、この感情は記録しておかなければならない、と思いパソコンを開いた次第です。まずは簡単にあらすじから。

こちらも超傑作、前作『犯罪者』のレビュー記事はこちらから→太田愛『犯罪者』感想レビュー 一気読み必至!圧倒的リーダビリティの傑作ミステリー

※今回の記事には重要なネタバレが含まれています。ご注意ください。

あらすじ

12歳の夏、学校へ行く途中、忘れ物をした、と行ったきり忽然と姿を消した少年、水沢尚。彼が最後に目撃された流木には、「//=|」という謎の記号が。その後23年経っても尚は見つからず。新たに起こった少女誘拐事件の現場には、23年前と同じ、「//=|」の記号が残されていた。尚は失踪前、友人の相馬に「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」とこぼしていたが、相馬はそれが冤罪だったと知る…。

この記号は何を示しているのか。尚は死んでしまったのか。冤罪はなぜ起こってしまったのか。

幾多の謎の果てに、悲しい真実、司法制度の闇が映し出される。

相馬、尚、拓の子供時代

私はこの一冊にかなり心を揺さぶられたのですが、それは相馬、尚、拓の子供時代の描写と、現在の対比が刺さっていたからではないかと感じました。秘密基地で宿題をしたり、謎の男に絡まれたり、家に泊まってご飯を食べたり…。なんてことないようなシーンなのですが、それがどうにも幸せそうで、でもその先を知ってしまっているからこそその思い出は切なくて、辛くて、読後かなりの余韻を残しました。

水沢尚を捨てた尚、壊れてしまった拓。

2人の父親である柴谷哲雄を殺したのは拓だった。しかも、殺した父親は思っていたような「ヒトゴロシ」ではなかった。拓と、母親香苗を守るため、水沢尚という存在を消し去ろうとした尚の心中はどんなものだったのか、想像するだけで息が詰まりました。

そして、自分が父親を殺したこと、尚が自分を守るために姿を消したことを知った拓は壊れてしまいました。子供時代はただただ無邪気で、相馬達3人の子供時代の象徴のようだった拓だけに、いっそう辛く、重たい印象を残しました。エッフェル塔のUSBに打ち込まれた文章はしばらく脳裏に残りそうです…。

1と10はつり合わなければならない。なぜならそれでこそ世界の均衡は保たれるからだ。

冤罪-現代の司法制度の闇-

尚、拓の父親、柴谷哲雄は冤罪だった。しかも、近隣住民がアリバイを証言していたのにも関わらず、その証拠は法廷に提出されず、訴え空しく求刑通りの懲役9年を言い渡されてしまう。

これまでも何度も冤罪をテーマにした小説を読んできましたが、今の司法制度、取り調べの実態はどうなのでしょうか。捜査官が描いた筋書きに合う人物が犯人として選ばれ、描いた筋書き通りに自供させられ、被告人に有利な証拠は握りつぶされる…。正義の象徴である警察、検事、裁判官が、正義を全うせずして誰が正義を貫くのか、疑問に思ってしまいます。

正直なところ、私はラストで尚の計画がうまくいってくれ、と思ってしまいました…。本当はいけないことなのだと思いますが、冤罪で人生のすべてを奪われた人の苦悩を想像すると、尚が取った行動は必然だったのかとも感じました。

倉吉望として人生を再スタートした尚の言動は、なんてことのないような相馬との会話の中にも世界への諦め、絶望のようなものが漂っていて、終始辛くなってしまいました。特に、本来であれば真っ先に出てくるであろう「憎悪」の感情がさほど感じられないことが、尚が受けたショックの大きさを物語っていたなと。

まとめ

久しぶりに、一登場人物にがっつり感情移入して読んでしまいました。ラストも最高。この作品の最後の文が「尚は、友達になれるといいなと思った」はずるいですよね。悲しみに包まれつつも、尚が生きててくれてよかった、怪我を治してどうか幸せに過ごして欲しいと、そんなことを思ったもしかめでした。

合わせて読みたい

実際に起きた冤罪事件、足利事件について記した「殺人犯はそこにいる」や高野和明のデビュー作「13階段」、大門剛明の「完全無罪」あたりを再度読み返してみようかなと思います。もし未読のものがあれば、皆さんもぜひ読んでみてくださいね。

本日も好き勝手、まとまらない文章を書いてしまいました。駄文に最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

今日の一冊

太田愛「幻夏」
高野和明「13階段」
大門剛明「完全無罪」
清水潔「殺人犯はそこにいる」
もしかめ

もしかめ

ミステリー大好きもしかめが、読んだ本や日常などをだらっと記録していくブログです。

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