中山七里『護られなかった者たちへ』感想レビュー 号泣必至!社会保障問題を背景にした社会派ミステリー

こんにちは。もしかめです。今回は、10月1日に映画公開予定、中山七里さんの『護られなかった者たちへ』の感想レビューです。

実は中山七里さん、今回が初読み。有名な作品たくさんありますし、みんな面白いって言うし手を出したいと思いながらまだ読めていなかったのですが、ついに購入。

決め手はタイトルですね。というか、私の本を選ぶ基準はほぼほぼタイトルです。あと装丁。ストーリーが面白そう、と思って購入したことはほぼ無いんじゃないかな?

でもこの買い方、侮れないんですよ。タイトルとか装丁って、その本の世界観の当然表紙なわけですから、そこがびびっと来たものって、大体面白いんですよね。

そんな感じで購入した今作、まだ余韻が抜けません…。重厚な社会派ミステリーで、気軽に『おもしろかった!わーい!』という感じではないです。イメージとしては『面白かった……』って感じ(は?)

貫井徳郎好きの私にはたまらない作品でしたね…。あらすじは以下。

あらすじ

仙台市で他殺体が発見された。拘束したまま飢え苦しませ、餓死させるという残酷な殺害方法から、担当刑事のトマシノは怨恨の線で捜査する。しかし被害者は人から恨まれるとは思えない聖人のような人物で、容疑者は一向に浮かばずにいた。

捜査が暗礁に乗り上げる中、2体目の餓死死体が発見される。一方、事件の数日前に出所した模範囚の利根は、過去に起きたある出来事の関係者を探っていた…。

感想レビュー

大前提として、ストーリーは抜群に面白い。でもそれだけじゃない。しっかり練られたストーリーに、現代の社会保障問題をノンフィクションも交えながら突きつけていく構成が見事。

犯人への手がかりが一切見えず、雲をも掴むような状況から次第に事件の輪郭が見えてくる捜査パートは臨場感たっぷり。

そこに、青年利根の家族のような存在、けいとカンちゃんとの暮らしを描いたパートが続きます。

ここがまた良いんだ…。血は繋がっていないけれど、3人の生活は愛と絆に溢れています。そんな中で、弱者を救済すべき社会保障の実態が徐々に明らかになっていきます。

そんな社会の残酷さを前にした利根、けい、カンちゃんそれぞれが選択した生き方に、心を打たれ、胸が締め付けられました。

社会保障の中でもメインテーマとなるのは生活保護。今なお不正受給など、悪いニュースがしばしば耳に入ってきますが、そんなノンフィクションの事例も含めて、実態をリアルに、痛切に描写しています。

本来対象ではない人が受け取るのとは逆に、明らかに生活保護の対象、護られるべき人でありながら、保護を受けられない人も数多いと。

声の大きい人だけが護られ、護られるべき人が護られない。そんな社会の構造に、ぞっとするような感覚を覚えました。

護られなかった者たちへ、というタイトルから、なんとなく国への怒りから生まれた犯罪の話なんだろうなと想像はつきましたが…

あまりにも理不尽で悲しい真実に、怒り、やるせなさ、悲しさなど色んな感情が湧き起こってきて、読後はしばらくぼーっとしてしまいました…。

全編通して暗くて重いテイストの作品ではありますが、そんな中で希望も見せてくれるのが憎いところ。

どんなに他大勢に虐げられようと、守ってくれなかろうと、たった1人でも本気で守ろうとしてくれる人がいれば、人は生きていけるんだ、という前向きなメッセージも残してくれていたように思います。

制度や国は簡単には変わらない。まずは一人一人が、愛や絆を忘れないことが大切だと、月並みですが私はそう受けとりました。

テーマが堅いからといって、読みにくいなんてことは無く、むしろスイスイ読めてしまうリーダビリティ。ミステリーとしての面白さはいっさい損なわず、問題提起を見事に挟み込んできています。社会派ミステリーが好きな方はマストな作品でしょう。

読後非常に充実した気持ちになれる一冊です。みなさんもぜひ。映画も楽しみです。

それでは今回はこの辺で。最後までご覧いただきありがとうございました。

もしかめ

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ミステリー大好きもしかめが、読んだ本や日常などをだらっと記録していくブログです。

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