太田愛『天上の葦』感想レビュー◎ 天を指差し絶命した老人に見えていたものとは…。悲しい真相に心を抉られる…!

こんにちは、もしかめです。少しお久しぶりになってしまいました。今回は太田愛さんの3部作の完結編『天上の葦』の感想レビューです。

あらすじ

興信所を営む鑓水と修司のもとに不可解な依頼が舞い込む。渋谷のスクランブル交差点で、空を指さして絶命した老人が最期に見ていたものは何か、それを突き止めれば1000万円の報酬を支払うというのだ。

一方、老人が死んだ日、1人の公安警察官が忽然と姿を消す。停職中の刑事・相馬は彼の捜索を非公式に命じられるがー。2つの事件の先には、社会を一変させる犯罪が仕組まれていた!?サスペンス・ミステリ巨編!

感想レビュー

安心と信頼の太田愛さん。1作目の『犯罪者』、2作目の『幻夏』ともに圧倒的な面白さでしたが、今作も圧巻でした。

1作目で火花を散らした服部が突如鑓水たちの興信所に。依頼内容は渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で、天を指差しながら絶命した1人の老人・正光。その老人がなにを指差していたのかという突拍子もないもの。期限は2週間、報酬はなんと1,000万円。

そして時を同じくして、相馬は突如失踪した1人の公安警察官・山波の捜索を依頼されます。

犯罪者、幻夏同様、謎が謎を呼び、徐々に2つの事件が紐付いていく様は圧巻。テレビドラマのように見どころ・フックが満載で、とにかく先が気になってページをめくってしまいます。

決して語られない正光の戦時中の過去。いったい戦時中になにがあったのか。そして公安の山波はなにを知り、どこへ消えてしまったのか。

正光の過去と山波が掴んだ真相が結びついた時、戦時中から現在まで続く、日本全体を変えてしまうような巨大で恐ろしい陰謀が浮かび上がってきます。

私たちが普段から目にしている”あるもの”が、人を殺す凶器に変わることがわかった時、他人事ではない恐怖に襲われました…。

前2作同様、全編を貫くテーマは非常にシリアスなのですが、鑓水、修司、相馬のやり取りは今回も健在。浮世離れした鑓水、無鉄砲な修司に、まるでお母さんかのようなツッコミを入れる相馬のやり取りはかなりシュール。

みんな口はよろしくないほうですが、根底ではそれぞれを気にかけ、信頼し合っている絆の深さに胸を打たれます。3人にもう会えないのはとても寂しいですね…。

犯罪者では修司、幻夏では相馬にスポットが当たっていましたが、今作は鑓水に。これまで一切語られず、謎に包まれていた鑓水の過去が明らかになり、同時に鑓水の人間臭さも感じられて非常によかったです(語彙力)

そして相変わらず、太田愛さんのラストスパートはエグい!まさにノンストップで、最後は一気に読み切ってしまうこと間違いなしです。

戦争の話がかなり長く挟まれることもあり、前2作よりかは若干テンポが落ちるところもありますが、その分心をザクザク抉ってくるエモーショナルな展開が続き、じわーっと心に沁み渡るような読後感でした。

ほんとに、太田愛さんの3部作はどれもクオリティ高すぎてびびります…。あの3人に会えなくて寂しくなったら、また1作目から読み返そうと思います。

それでは今回はこの辺で。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

過去2作の記事はこちら→太田愛『犯罪者』感想レビュー 一気読み必至!圧倒的リーダビリティの傑作ミステリー

【ネタバレ感想】太田愛「幻夏」。悲しみが滲む冤罪ミステリー

もしかめ

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