学園ホラーミステリー「Another2001」ネタバレ感想

前作から3年後、さらにスケールアップした「災厄」が夜見北を襲う

こんにちは、もしかめです。今日は、前作「Another」の凄惨な災厄の描写はそのままに、より謎が深まりスケールアップした綾辻先生の最新作、「Another2001」のネタバレありレビューをしていこうと思います。

※以下ネタバレあり


死者が序盤で発覚する

本作の特徴は、なんといっても死者が序盤で早々に明らかになるところですよね。前作を読んでいた人は赤沢泉美と聞いた瞬間にあれ、と気づくはずですし、未読であっても冒頭で3年前の災厄によって死亡した生徒の一覧が載っていたので全員が平等に気づけるようになっています。

中盤で鳴が泉美と対面し、「今年のもう一人は、あなた」と告げるところなんかはわかっていてもぞわっとしましたね。また、前作同様、認知能力の低下した人には記憶の改変が効きにくいという設定は健在で、赤沢を見たおじいちゃんが「何でお前がまた…」「何でお前がここにいるのか」と言っているシーンも、前回の恒一のおじいちゃんのあの不気味なセリフを思い出させましたね。

前作ファンは必見

まず感じたのは、鳴のヒロイン力が上がってないか?と。無機質で冷たい感じは変わらないのですが、明るくなったしよくしゃべるようになったなと思いました。どこかつかみきれない感じをベースにしつつも、主人公の想に積極的に助言を行うなど、キーパーソン的な枠割を前作よりも全うしていました。

また、前作の主人公、榊原恒一の全能感が異常。死者を直接死に還した人物であり、かつ海外での生活を続けていたために恒一は3年前の災厄についてほぼすべて記憶を残しているチートモード。これ恒一に聞けばすべてさっさと解決したんじゃないか?と感じるほど。

赤沢泉美は想のいとことして蘇ったため登場シーン盛りだくさん。前作で見れなかったような表情もたっぷりで、今作で好感度がかなり上がったキャラクターだったのではないのでしょうか。

前作を読んだ人なら、鳴と恒一の成長、赤沢の知られざる一面がみられる、というだけでも楽しい一冊ですね。

綾辻作品の中では難易度低め??

今作は、かなりヒントが多かったと思います。その一番の要因は、主人公が感じる「どくん」という、聴覚の守備領域外にあるような低い響きでしょう。主人公が記憶に違和感を覚えた際にこの描写が漏れなく来るので、非常にわかりやすいヒントとなっています。

最終的に死者が2人に増えていた、そして2人目の死者は3年前の災厄で命を落とした鳴の妹、未咲というのが今作のトリック。2人目の死者の正体はともかく、死者が2人いる、ということに主人公の想が全然気づかないことに少しもどかしさを感じました。赤沢が放った「要は死者といないもののバランスでしょ?」というセリフが何度も脳裏によぎっているのに、「なんで気づかないんだよ!」と突っ込みたくはなりました。

綾辻先生といえば、種明かしをしっかり作中で、かつ丁寧にやってくれる方ですが、トリックの難易度がそこまで高くなかっただけに今回はそれが少し裏目に出ているのかな…と。死者が1か月出なかった8月の謎に対しても、明確な回答は無し。超自然現象だから、といってしまえばそれまでですが、ここにもう一段階トリックが隠されていると予想していたので少し残念でした。

勘違いして頂きたくないのですが、僕は綾辻先生が大好きです。大好きだからこそ、他の例えば館シリーズなんかと比較すると、どうしても見劣りしてしまうなと思ってしまい、もっとこう、唸らせてくれるようなトリックを期待してしまいました…。ただこれは、綾辻先生への期待値があってこそ。シンプルに1作品としての完成度で言えば文句の付けようがありません。欲張りですね…。

圧倒的リーダビリティ

トリックが弱い。しかし裏を返せば、読者がトリックを中盤である程度見破れたのにも関わらず、グイグイ読ませるリーダビリティが凄まじい、ということです。この本、鈍器と呼ばれるほど厚いですからね。(単行本約800ページ)。終盤にかけて、集団ヒステリーが起きたり病院にヘリが突っ込んできたりと、もはやパニック小説か?と思うほどスケールアップした災厄をはじめ、ヒリヒリした緊張感を文体に宿す筆力は、さすがだなと思いました。

ミステリー小説というより、Anotherの世界観にどっぷり浸る物語

そもそも今作を、ド直球ミステリーとラベリングして読もうとしたところから間違えていたのかもしれません。今作では、想と鳴それぞれの家庭の事情や、親に対してどう向き合っていくか、という要素も多分に入っている点が印象的でした。赤沢の性格が丁寧に描かれたりという点も相まって、前作Anotherの世界観をより濃密にした物語にミステリー要素もくっついてきている、そんなイメージが正しかったのかもしれません。

続編制作決定!

そしてなんと、Another、続編がすでに決定しているというじゃありませんか!次回が最終章とのことなので、夜見山の物語がどのように解決を見せるのか、今から楽しみで仕方ありません。先生いわく、その為の伏線も本作でいくつも張っているとのこと。特に、精神科医の先生の子供、希羽ちゃんという女の子。どうやら未来を予測できるっぽい能力を持っているようですが、今作だけだと「え、その設定必要だった??」と謎に感じていたのですが、どうやら最終章で活躍しそうですね。

トリックの内容的に少し賛否両論ありそうな本作ですが、私はAnotherの世界観が大好きなのでとても楽しめました。皆さんはいかがでしょうか。ちなみに、綾辻先生はAnotherの続編の他にも館シリーズの最新作も着手しているとのこと。これからも目が離せませんね。

では、本日もご覧いただきありがとうございました。

今日の一冊

Another2001 本の表紙

Another2021 -綾辻行人-

もしかめ

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ミステリー大好きもしかめが、読んだ本や日常などをだらっと記録していくブログです。

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